E2系1000番台「やまびこ」「なすの」「とき」「たにがわ」 グリーン車編

E2系1000番台 – グリーン車/普通車

東北新幹線の八戸開業に併せて、既に登場していたE2系0番台の発展型としてデビューしたのがこのE2系1000番台です。北陸新幹線(当時は長野行新幹線)と共通仕様だった0番台とは異なり、こちらは周波数50Hzのみ対応&急勾配に対応した装備は省略しているなど、東北・上越新幹線での運用に特化した仕様となっています。

最終的にJ51編成からJ75編成まで25本が増備され、当時の東北新幹線の最速達列車であった「はやて」の“顔”として一時代を築きました。もっとも、E5系の増備が進んだ2010年代以降は徐々に上越新幹線へ転属。2019年からは廃車が始まっています。2023年3月をもって上越新幹線から引退しており、以後は「つばさ」と併結する「やまびこ」をメインに運用される予定とのこと。

写真は上毛高原駅にたたずむE2系1000番台。さっそく車内を見ていきましょう。

普通車の車体側面(左)と行先表示板(右)の様子。側窓は「1列につき1窓」だった0番台から、「2列につき1窓」となっています。

モケット

(左)座席 (中)カーテン (右)カーペット

撮影日時・場所

撮影日時:2023年1月・2月

場所:上越新幹線 上毛高原駅 「たにがわ」406号ほか

9号車 グリーン車

ではグリーン車から。0番台のグリーン車は、荷物棚周りや化粧板がグレーやホワイト基調であり、グリーン車なのに一種“殺風景”な雰囲気の内装でした。しかし、本番台では木目調など「ブラウン」のカラーを取り入れ、電球色の照明も相まって“高級感”は少しばかり向上しているように感じます。

その他、座席肩部に握り手がついている、照明が間接照明から直接照明に、荷物棚下に空調の吹出口が設けられている、など0番台から細かい改良が施されています。

車内を反対から見た様子(左/上)と天井の様子(右/下)。天井周りの構造は、後述する普通席と大差ありません(というか全く同じです)。照明こそ電球色ですが…(笑)。

グリーン車 座席

座席の様子。(左/上)が一般席区画、(右/下)が車端部となります。付帯設備はフットレスト・インアームテーブル・ピローとなっており、新幹線のアッパークラスとしては随分あっさりしています。なお、読書灯は0番台に引き続いて設置されていません。

実際に腰かけると、固めのクッションに滑りにくい座面、やわらかく頭を包み込むピローと、座席そのものとしては「優等生」な座り心地です。一般の利用者にはそれでいいのでしょうが、マニア的に「面白い!」と感じる要素はあまりない気がします。

フットレストのアップ(左/上)と座席背面の様子(右/下)。フットレスト部の左上にあるペダルは、昔の国鉄型特急車両に見られるような「ペダルでフットレストの高さが調整できる」類のものかと思いましたが、実際は単なる「フットレスト収納用」のそれでした。ペダルを踏みこむとフットレストが跳ね上がります。

グリーン車 車いす対応席(9号車13D席)

グリーン車の新函館北斗・新潟方には車いすに対応した区画(13D席)が設けられており、その座席は1人掛けとなっているほか、最寄りドアや仕切扉は他のそれよりも広めに取られています。

で、車いす対応区画(9号車13D席)の様子(左/上)と、その全展開状態(右/下)。座席後ろに置いてあるオットマンは、下り列車での運用時にこの区画直後の2人掛け席通路側の人が使うモノ。写真は上り東京方面行で撮影したため、フットレスト脇にセットされています。

車いす対応区画 直前

で、下り新潟・仙台方面行きでのカット。車いす対応席直後の2人掛け通路側はこの場合、前方に座席(=フットレスト)がなくなることから、代わりにこのオットマンが設置されています。

この座席、所謂「調整席」(突発の乗客向けに存在する予備の座席)の扱いには特段なっていないようで、指定席券売機上でも普通に指定できました。私は取材時、わざわざこの座席を指定してオットマンを使ってみたのですが、使い心地は実のところ悪くありません。むしろ普通のフットレストより、脚を水平に伸ばしてゆっくりできた気がします。

もっとも、車内に入ってくる人とはどうしても目が合いますし、目の前が完全に空間というのはそれはそれで落ち着きませんでしたが…(笑)。ちなみに9号車12C席が写真の区画となります。

洗面台

デッキ(左/上)と洗面台(右/下)の様子。洗面台は普通車・グリーン車とも同一仕様だったため、こちらで紹介します。

シンクの様子(左/上)と水道・ハンドソープ噴出口部のアップ(右/下)。ベージュ系の色調に角ばったシンクの洗面台だった0番台とは変わって、グレーの色調に丸みを帯びたシンクと、マイナーチェンジが見られるのが面白いところです。こちらの方が、シンク周りに色々モノを置けて便利な気がします。

トイレ

男子小用トイレ(左/上)と男女共用トイレ(右/下)の様子。男子小用トイレは0番台のブルー系に対してこちらはグレーですが、基本的な構造はどちらも同一のようです。

9号車 車いす対応トイレ

車いす対応トイレは9号車に設置(左/上)。ブルー系の内装だった一般トイレとは異なり、こちらはベージュというか暖色系の色調になっているのが特徴です。トイレ内部には大型のベビーベッドも設けられており、(右/下)が展開してみた様子。シートベルトがついているのですが、あまり使われていたわけではないようで妙にきれいでした。

このページは2ページ構成です。次は>>普通車 編です。

概説

デビュー年:2002年

東北新幹線八戸開業用として、E2系0番台をベースにマイナーチェンジを行った番台。急勾配や周波数50Hz/60Hz対応の0番台とは異なり、本番台は電気周波数は50Hzのみ対応、また急勾配対応設備などは省略されるなど、東北・上越新幹線での運用に特化した性能となっている。

高速走行時の車体間の揺れを抑制するため、両端先頭車両とグリーン車(9号車)に、新幹線で初となるフルアクティブサスペンション、その他の車両にはセミアクティブサスペンションを導入し、走行時の揺れを大幅に減らしている。

2002年12月の東北新幹線八戸開業時に、当時の最速達列車である「はやて」に投入。新青森開業後も東京~新青森で運用されたが、E5系の投入が進むと「やまびこ」及び上越新幹線がメインの運用となった。青函トンネルには対応していないため、新青森以北への入線はできない。

2023年3月のダイヤ改正をもって上越新幹線から撤退。以後は「つばさ」と併結する「やまびこ」を中心に運用される。

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