キハ85系「(ワイドビュー)ひだ・南紀」 洗面台ほか 編

キハ85系「(ワイドビュー)ひだ・南紀」 – グリーン車普通車/洗面台ほか

高山駅で肩を並べるキハ85系(左/上)と、高山駅の駅名版とともに(右/下)。

撮影日時・場所

撮影日時:2023年2月・3月

場所:飛騨古川駅 「ひだ」9・19・20号ほか

備考

本項には、トイレ内部の写真が含まれます。

デッキ・通路

さて、本項では「グリーン車」「普通車」の項で紹介しきれなかった、デッキ・洗面台・トイレを一気に見ていきます。(左/上)は一般的なデッキ。(右/下)も一見普通のデッキですが、ドア脇に謎の空間が。これは、普通車・グリーン車合造車のキロハ84で見られた車掌台つきデッキです。

キロハ84は写真手前に乗務員室が設けられており、乗務員室がない側のドアを開ける場合は車掌の方がこの空間に立ち、窓を開けて側面を監視しながらドアを開閉します。窓脇のカバーを開けると、ドア開閉用のスイッチが入っているそうです。

もっとも、近年は運転台からドアの開閉を行う場合が大半のようです。私が取材した列車でも、最初から最後まで使用されている様子はありませんでした。

デッキ部分の通路(左/上)。自動販売機はサービス終了したまま放置されているほか、反対側には不思議なシャッターが(右/下)。こちらは元々車内販売の準備室だったそうです。「ひだ」「南紀」の車内販売が終了した今は全く使用されていないためか、シャッターはうっすらホコリをかぶっていました。

営業終了した自動販売機(左/上)と、かつての公衆電話スペース(右/下)。

洗面台

洗面台の様子。(左/上)は「ひだ」仕様車、(右/下)は「南紀」仕様車で撮影しています。

いずれも自動水栓・温水対応と設備は共通していますが、シンクの色や照明器具が異なるのが面白いところです。

和式トイレ

トイレは和式と洋式がありますが、まずは大半を占める和式トイレの様子から。例によって(左/上)は「ひだ」仕様車、(右/下)は「南紀」仕様車で撮影。

「ひだ」仕様車は昔ながらの金属製便器「南紀」仕様車は陶器製の便器となっているほか、「南紀」仕様車の方が入口のスペースが広く、手洗い台周りの構造、トイレ内部の色調も全く異なっています。
単なる導入時期の違いにしては随分と大きな仕様変更に感じますが、どういった経緯があってここまで変わったのかは気になるところです。

男子小用トイレ・洋式トイレ

男子小用トイレ(左/上)と洋式トイレ(右/下)の様子。どちらも「ひだ」仕様車での撮影です。

車いす対応トイレ

変わって車いす対応トイレの様子。後年取り付けられたものですが、改造にあたりデッキ部分の化粧板は完全に取り換えたとのこと。そのためか、改造車でよく見られる“独特の違和感”は全くない仕上がりになっています。

通路を片側に寄せてトイレの空間を広く取る、という手法は現代すっかり見慣れた仕様ですが、この車両が改造された2000年代前半では非常に目新しい仕様でした。

ベビーベッド(左/上)とトイレ内の各種設備(右/下)。ベビーベッドは独自のモケットが採用されています。

車いす対応 洗面台

車いす対応トイレの反対側は、やはり車いす対応の洗面台が設けられています。横幅が広く取られているほか、シンクが低い位置に設置されています。

ちなみに(右/下)の写真をあえて下から撮影しているのは、私自身の映り込み防止です(笑)。

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概説

デビュー年:1989年

「ひだ」「南紀」で使用されていたキハ82系の置換用として1989年にデビュー。

車体は軽量化を狙ってステンレス製を導入。観光需要の高い高山本線・紀勢本線の投入を前提に設計されたため、側窓は大窓を採用。窓下に赤帯を配す、373・383系にも受け継がれた「ワイドビュー」シリーズの元祖である。

1989年から「ひだ」、1992年から「南紀」に導入され、それまで使用されていたキハ82系を置き換えた。
以後、一貫して同列車に充当されてきたが後継のHC85系登場により「ひだ」からは2023年3月改正で引退。「南紀」からも同年6月に引退予定となっている。

高山本線で運用されていた本系列は2023年3月以降、臨時「ひだ」に充当予定の一部編成を除き廃車となる見込み。なお、そのうち4両が京都丹後鉄道へ譲渡されており、同社での運用開始に向けた準備が進められている。

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