24系「小坂鉄道レールパーク ブルートレインあけぼの」 – A寝台/B寝台「ソロ」/B寝台


深夜の小坂駅にて。日が沈んだあとの小坂駅周辺は、何の音もしない本当に静かな場所です。
モケット


(左)モケット (右)カーテン
撮影日時・場所
撮影日:2016年07月09~10日
撮影場所:24系25形「小坂鉄道レールパーク ブルートレインあけぼの」車内
備考
当サイトで紹介している内容は、取材した2016年当時の内容です。現在は車内での過ごし方など各種規定などが変わっている場合があるため、最新情報は公式サイトをご確認ください。
B寝台


続いて開放型B寝台を見ていきます。こちらは「休憩スペース」と呼ばれており、宿泊者同士の交流の場、また飲食の場として使用できます。B寝台「ソロ」・A寝台「シングルデラックス」の個室内では飲食が禁止されているため、食事の場合はここか駅舎併設の休憩所を利用することになります。
車内(左/上)と寝台の全景(右/下)。現役当時と比較して、非常口のピクトグラムが設置されたことや、座席番号の表示が新たに貼りつけられている程度で、それ以外は特に変わった点は見受けられません。
B寝台

下段寝台のアップ。青森車両センターに所属していた24系車両の末期の状態がそのまま残っています。この寝台は「あけぼの」のほか、かつて大阪~青森を結んだ「日本海」、もっと遡れば上野~青森を東北本線経由で結んだ「はくつる」などでも見られました。


カーテンを閉めてみたところ(左/上)と上段寝台の様子(右/下)。宿泊用として使われていない今、このカーテンももはや無用の長物ですが、現役時代と変わらない状態で保存されています。
この車両では、(宿泊者に限り)車内での飲食が認められています。近くのコンビニでお酒とおつまみや弁当を調達してこのB寝台に身を預ければ、気分はもう往年の「寝台列車の旅」そのもの。気の合う仲間とまったり飲んだり、一人で薄暗い寝台で静かに過ごすなど、さまざまな楽しみ方が考えられそうです(笑)。
B寝台 寝台まわりの設備


寝台部分のアップ(左/上)とコートかけ(右/下)。写真では分かりにくいですが、座面にはよく見ると一定間隔で「線」が入っており、座席として使う場合の一人あたりの着席スペースが示されているように見えます。


通路上スペースを使用した荷物置き場(左/上)と寝台部の天井の様子(右/下)。荷物置き場の中央上にあるのは換気扇で、もちろん現役で稼働していました。「電源車ごと保存」しているブルートレインあけぼのならでは、と言えそうです。
読書灯ほか


読書灯(左/上)と安全サクの使い方などの表記(右/下)。読書灯の照度は2段階に調節できます。
座席番号


各ボックス部分には寝台番号を示したプレートのほか、ラミネートによる座席番号の表記が新設されています。小坂鉄道レールパークでは、この開放型B寝台に乗車して小坂駅構内を往復する「乗車体験イベント」が不定期で行われており、その際に使用する座席指定番号のようです。
その他の設備


通路上の鏡(左/上)と、小坂への移設時に新設された非常ベルの様子(右/下)。この鏡は化粧直し用のもの。この車両の現役時代、朝方にここで電気シェーバーでひげをそるおっさんが通路を占領していたのが思い出されます(笑)。


窓側の椅子(左/上)と通路の突き当たりにある各種サイン・ボタン類など(右/下)。


通路の様子(左/上)と、通路部分にあるヒーターの様子(右/下)。通路のカーペットは一部貼りかえられた形跡が。移設後も丁寧にメンテナンスされているようなのは好印象ですね。
(右/下)のヒーターは、「ブルートレインあけぼの」が冬季休業となることから、基本的には使用されていません。なお、スタッフの方(当時)によるとヒーターそのものは使えるそうで、春先・晩秋の朝晩など、相当冷え込む場合は現在もたまに使うことがあるそうです。
デッキ・乗務員室



デッキ側から仕切り扉を見たところ(左/上)。この窓の「あめ色」、かつて国鉄型車両ではよく見かけましたが、最近はそういった車両の引退も進んですっかり見かけなくなった気がします。
仕切扉の隣には空調の操作盤が入っており(中)、私が撮影していた時もスタッフの方が時折ここを開けて空調の強さを調整されていました。保存車で「車両の冷房機器の操作盤」が現役で稼働・通電しているのは本当に貴重なので、乗車した時はぜひ見てみると面白いと思います。もっとも、操作盤の内部は撮影禁止とのことでした(当時)。
反対側には車掌室が(右/下)。車掌室自体は施錠されており立ち入ることはできませんが、夜は当直の係員による「模擬おやすみ放送」を行う際に使用するそうです。


車掌室は2部屋設けられていますが、一部屋は「火災受信所」なる看板が新たに取り付けられています(左/上)。お話を伺ったスタッフの方によると、この「業務用」室(右/下)の中に火災受信盤が設けられているとのことで、建物としての消防基準に則ったものとのこと。こういったところは「保存車」らしいところです。
おまけ:朝食弁当


小坂鉄道レールパーク内には飲食店はありませんが、2日前までに事前予約をすると、有料で朝食弁当を手配することができます。この「鶏めし弁当」は奥羽本線の大館駅の駅弁ですが、「ブルートレインあけぼの」特別バージョンの掛紙とともに提供されます。
味そのものは大館駅で販売されているのと全く一緒です。何の予備知識もない状態で、宿泊の前日に大館駅で全く同じ弁当を食べてしまった私は少々複雑な心境でしたが(笑)、この掛紙は記念になります。注文してみる価値は十分あるのではないでしょうか。


テーブルに駅弁を置いてみた様子(左/上)と、車窓からの「こさか」の駅名(右/下)。車窓にのぞく線路・駅を見ながらの駅弁は格別です。
おまけ:車内からの動画

実際に動いている「ブルートレインあけぼの」の車内からの動画を紹介します。当時使っていたカメラの関係で35秒程度ですが、走り出してからの様子がご覧いただけます。
このページは3ページ構成です。
<<B寝台 編・<<A寝台「シングルデラックス」 編 に戻る。
概説
デビュー年:2015年10月(小坂鉄道レールパークでの営業開始)
「ブルートレインあけぼの」とは、秋田県鹿角群小坂町に存在する「小坂鉄道レールパーク」の宿泊施設。かつて「あけぼの」として使用されていた寝台車3両と電源車1両を譲り受け、2015年10月より宿泊施設としての営業を開始した。
編成は4両で、開放型B寝台、B寝台「ソロ」、A寝台「シングルデラックス」及び電源車1両で組成される。「ソロ」「シングルデラックス」に宿泊でき、開放型B寝台は談話室として用いられている。
毛布、シーツは宿泊料金に含まれているほか、小坂鉄道レールパーク内にシャワー施設があり、宿泊者は無料で利用できる。
昼間は小坂鉄道レールパーク内の車両展示場(ホーム突端)に展示されているが、チェックインの受付が始まる前の16:30頃に小坂駅のホームに機関車牽引で移動される際、宿泊者は「動く寝台車」に乗車することができる。
実際に動いている寝台車に乗車できるのは本施設が唯一(2016年10月現在)。
また、電源車であるカニ24を実際に「電源車」として用いているため、車内の空調などはそのまま使用されており、内装が現役時代と何ら変わりなく保存されている点も特筆に値する。
事前に予約することで朝食弁当の注文ができる(有料)ほか、飲食店やコンビニが徒歩圏内にある。
なお、営業期間は4月下旬~11月下旬のみで、冬季は休業となるほか、車両の整備などで不定期に営業休止となる場合がある。なお、近年は新型コロナウイルス感染拡大によりブルートレインの宿泊受付は停止されており、2023年秋以降の再開を目指しているとのこと。