24系「ふれあいらんど岩泉 ブルートレイン日本海」

目次

・A寝台
A寝台 洗面台・トイレ・車内設備
B寝台
B寝台 デッキ・車掌室・その他車内設備

24系「ふれあいらんど岩泉 ブルートレイン日本海」 A寝台 編

かつて大阪~青森を結んだブルートレインが「日本海」ですが、この「ブルートレイン日本海」はその客車を使用した宿泊施設です。岩手県・岩泉にある「ふれあいらんど岩泉」の中に設けられており、見ての通り広大な敷地の中に24系客車3両がデンッと鎮座しています。

この「ブルートレイン日本海」の特筆すべきところとして、日本全国で唯一「開放型A寝台」に宿泊できるということ。寝台列車だった車両を使っている宿泊施設は全国にもいくつかありますが、そのほとんどはB寝台が中心です。製造両数がそこまで多くなかった「開放型A寝台」が、宿泊できる形で残っているというのは本当に“プレミア”ではないでしょうか。

このページでは、そんな「ブルートレイン日本海」の車内を、細部まで詳しく見てみることにしましょう。

編成を反対側(A寝台オロネ24 5側)から撮影した様子。こちらの貫通路は非常口となっており、通行が規制されていました。青空にブルーの車体がよく映えます。

ちなみにオロネ24 5の簡単な車歴ですが、同車は1973年8月28日に落成し、向日町に配属されました。「あかつき」「彗星」などに使用されたのち、1975年3月に品川へ転属します。
いわゆる九州ブルトレのアッパークラスとして華々しく活躍すると思いきや、直後に個室のA寝台を引っ提げたオロネ25形の投入がスタート。オロネ24 5は、これに押し出される形で1976年10月に青森へ転属し、結局はここが“終の棲家”となりました。以後2013年3月に廃車となるまで、青森を拠点に活躍しています。

廃車間際の最末期は、この施設名でもある「日本海」で使用されていましたが、古くは「鳥海」「出羽」「あけぼの」「ゆうづる」などにも運用された実績のある車両です。

モケット

(左)モケット (中)カーペット (右)カーテン

撮影日時・場所

撮影日:2015年8月17~18日

撮影場所:ふれあいらんど岩泉 「ブルートレイン日本海」 車内

備考

当サイトで紹介している内容は、取材した2015年当時の内容です。現在は車内での過ごし方など各種規定などが変わっている場合があるため、最新情報は公式サイトをご確認ください。

開放型 A寝台

さて車内の様子です。車内は「日本海」で使用されていた時から、基本的には大きく変わっていません。古い車両に特有の「におい」もそのまま残っています。

私の取材時は「1両貸切」で予約した(=つまり1両まるまる独り占め)ので、せっかくということで全てのカーテンを閉めた「始発駅でのセット状態」(左/上)と、夜間の減光中(右/下)を(勿論許可を得ての上)それぞれ再現してみました。
現役時代の写真の中にこの写真を出しても、パッと見では全く違和感がないのではと思うほどに(笑)、車内は現役時代ほぼそのままです。

また、車内の照明はデッキにあるスイッチを操作することにより、利用者サイドで設定することができます。使い方は係の方が教えてくれるので、分からない場合も安心です。

~照明について~

スイッチは「全切」「全光」「減光」の3つあり、深夜帯(22時以降)は「全光」にしていても自動的にこの減灯モードに入るようです(これ以降に全光にする場合は、一旦「全切」位置にしてから再度「全光」に回す)。

しかし、21:55頃になると「減光」モードにしていても、なぜか全ての照明が一旦点灯し、22:00に再び減光するという謎仕様になっています。

スイッチの切り替え装置の仕様か何かなのでしょうが、照明のスイッチがあるのはデッキ。何の予備知識もない状態で減光モードにして21:30頃からまったりしていた私は心臓によろしくない思いをしたので、今後行く方のために情報共有しておきます(笑)。

A寝台 下段

A寝台の下段の様子。デフォルトでは見ての通り座席状態になっています。

現役時代に、この「座席状態」で運用されたことはあったのか気になるところです。座席は4人がけとはいえ、実際に座席状態となる場合は下段・上段の2人で使うことになるのでしょう。1ボックスを最大4人で使うB寝台と比べ、座席としての利用時もかなり余裕のある設備に感じます。

続いて寝台状態で一枚。ベッドメーキングはセルフサービスです。寝台の横幅は100cmで、B寝台のそれが70cmであったことを考えるとかなり広くなっています。

この寝台、座席を単に倒したもののため、そのまま寝ころぶと「デコボコ」した感じがします。現役時代はそれを解消するために、寝台部分にマットレスが敷かれていました。
こちらに移設されてからは、このマットレスは設けられていません。最初は多少違和感がありますが、すぐに慣れるので特に気にする点でもないような気がします(笑)。

壁際の設備の様子。(左/上)が枕側となります。設備は、読書灯、鏡、荷物棚(座席状態の時のヘッドレスト部分)となっています。また、この「ふれあいらんど岩泉」への移設時に、壁際にコンセントが一口新設されており、電源確保の心配はありません。

(右/下)は枕側と反対に、“足”側の様子。こちらは比較用に、荷物棚を展開した状態で撮影しています。

A寝台 上段

変わって上段寝台を見ていきます。この車両のデビュー時、「寝上段寝ながら起き上がれるほどの上下幅がある」というのは画期的で、これがB寝台との“差別化”でもあったとのこと。改めて寝台全体を見渡すと、転落防止ヒモだけでなくしっかりした柵があるなど、B寝台の上段よりもより重厚なつくりになっているのが垣間見えます。

もっとも、ベッド幅は90cmと下段より狭く、丸く圧迫感のある天井や、のぞき窓のような小さな窓も相まって、居住性は下段のそれよりどうしても見劣りしてしまいます。そのためか、現役時代は同じA寝台でも上段の寝台料金は下段より1000円ほど安く設定されていました。

「ふれあいらんど岩泉」への移設後に新設されたコンセント(左/上)と、寝具類をセットした状態(右/下)。実際に横になってみると、(上段寝台にしては)写真で見る以上に上下幅の余裕を感じました。

A寝台の小窓を開けた状態(左/上)と閉めた状態(右/下)。

その他の車内設備

天井の様子(左/上)。照明自体はB寝台と同じ蛍光灯式ですが、カバーが丸いものが採用されています。ノスタルジックな中にも高級感を感じるデザインで、これもアッパークラスであるA寝台ならではの仕様だったものと思われます。

(右/下)は、「ふれあいらんど岩泉」への移設時に新設されたクーラーの様子。デザインはビルの中で見かけるようなそれと同じです。取材時は、普通にかけていたら真夏にもかかわらず寒いほどに冷えました(苦笑)。かなり強力なものを使っているのでしょう。

通路(左/上)と車両銘盤(右/下)の様子。赤い絨毯が何とも昭和レトロな雰囲気でステキです(笑)。

他のブルートレイン保存車にも言えることですが、保存車は鉄道車両ではなく「建造物」という扱いのため、車内には非常ベルが設置されました(左/上)。また、(右/下)は脱出用のハンマーが入っているボックスの様子。内部はカラッポで、ハンマー本体は撤去されたものと思われます。

おまけ

おまけとして、深夜のA寝台(左/上)と「ブルートレイン日本海」で迎えた朝(右/下)。景色は全く動かず、揺れやレールの音色も全くないのですが、雰囲気はまさに往年のブルートレインです。

このページは4ページ構成です。次は>>A寝台 洗面台・トイレ・車内設備 編です。

目次

・A寝台
A寝台 洗面台・トイレ・車内設備
B寝台
B寝台 デッキ・車掌室・その他車内設備

概説

デビュー年:2014年8月(ふれあいらんど岩泉での営業開始)

「ブルートレイン日本海」とは、岩手県内・岩泉に存在する「ふれあいらんど岩泉」の宿泊施設の一つ。元々「日本海」「あけぼの」などで使用されていた寝台車3両を譲り受け、2014年8月から営業を開始している。

編成は3両で、開放型B寝台2両と開放型A寝台1両で構成。宿泊に使用される車両の設備は現役当時からほぼ変わっておらず、トイレ、洗面台も一部を除きそのまま利用可能。毛布、シーツは宿泊料金に含まれているほか、別棟に「ブルートレイン日本海」宿泊者専用のシャワー施設を設置している。

宿泊用の寝台は1ボックス(A寝台2人、B寝台4人)単位が基本だが、1両単位での貸切利用も可能。料金はシーズンにより異なる。

食事の調達は、道の駅いわいずみ内の売店(営業時間は短い)、または車で約15分前後の場所にあるスーパーマーケットとなる。コンビニなどは徒歩圏内にないため、公共交通手段のみで訪れる場合は事前に食事を調達した方が無難。また、有料でBBQコンロなどを借りることができる(要問合せ)。
営業期間は4~11月のみで、冬季は休業となる。

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